対応要領

国立大学法人広島大学における障害を理由とする差別の解消の推進に関する職員対応要領 (PDF)

国立大学法人広島大学における障害を理由とする差別の解消の推進に関する職員対応要領における留意事項 (PDF)

国立大学法人広島大学における障害を理由とする差別の解消の推進に関する職員対応要領

平成 28 年 3 月 31 日 学長決裁

(目的)
第1 この要領(以下「対応要領」という。)は,障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号)第9条第1項の規定に基づき,障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(平成27年2月24日閣議決定)に即して,広島大学(以下「本学」という。)に勤務するすべての者(以下「職員」という。)が適切に対応するために必要な事項を定めることを目的とする。

(定義)
第2  この対応要領において,次の各号に掲げる用語の意義は,それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1)  障害者 障害者基本法(昭和 45 年法律第 84 号)第 2 条第 1 号に規定する障害者,即ち,身体障害,知的障害,精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(難病に起因する障害を含む。以下「障害」と総称する。)がある者であって,障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものとし,本学における教育,研究,医療その他本学が行う活動全般において,そこに参加する者すべてとする。
(2)  社会的障壁 障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物,制度,慣行,観念その他一切のものをいう。
(3)  部局等 学部,研究科,研究院,附置研究所,病院,図書館,全国共同利用施設,中国・四国地区国立大学共同利用施設,学内共同教育研究施設,学内共同利用施設,附属学校,学長室,大学経営企画室,グローバル化推進室,監査室,理事室,東広島地区運営支援部及び霞地区運営支援部をいう。

(障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の基本的な考え方)
第3  この対応要領において,不当な差別的取扱いとは,障害者に対して,正当な理由なく,障害を理由として,教育,研究,医療その他本学が行う活動全般について機会の提供を拒否し,又は提供に当たって場所・時間帯などを制限すること,障害者でない者に対しては付さない条件を付けることなどにより,障害者の権利利益を侵害することをいう。なお,障害者の事実上の平等を促進し,又は達成するために必要な特別な措置は,不当な差別的取扱いではない。

2  前項の正当な理由に相当するか否かについては,単に一般的・抽象的な理由に基づいて判断するのではなく,個別の事案ごとに,障害者,第三者の権利利益及び本学の教育,研究,医療その他本学が行う活動の目的・内容・機能の維持等の観点に鑑み,具体的な状況等に応じて総合的・客観的に検討を行い判断するものとし,職員は,正当な理由があると判断した場合には,障害者にその理由を説明し,理解を得るよう努めなければならない。
3  この対応要領において,合理的配慮とは,障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し,又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって,特定の場合において必要とされるものであり,かつ,均衡を失した又は過重な負担を課さないものをいう。
4  前項の過重な負担については,単に一般的・抽象的な理由に基づいて判断するのではなく,個別の事案ごとに,次の各号の要素等を考慮し,具体的な状況等に応じて総合的・客観的に検討を行い判断するものとし,職員は,過重な負担に当たると判断した場合には,障害者にその理由を説明し,理解を得るよう努めなければならない。
(1)  教育,研究,医療その他本学が行う活動への影響の程度(その目的・内容・機能を損なうか否か)
(2)  実現可能性の程度(物理的・技術的制約,人的・体制上の制約)
(3)  費用・負担の程度
(4)  本学の規模,財政・財務状況

(障害を理由とする差別の解消に関する推進体制)
第4  本学における障害を理由とする差別の解消の推進(以下「障害者差別解消の推進」という。)に関する体制は,以下の各号のとおりとする。
(1)  最高管理責任者 学長をもって充て,障害者差別解消の推進及びそのための環境整備等(施設等のバリアフリー化の促進,必要な人材の配置,障害のある入学希望者や学内の障害のある学生等に対する受入れ姿勢・方針の明示,情報アクセシビリティの向上等)に関し,本学全体を統括し,総括監督責任者及び監督責任者が適切に障害者差別解消の推進を行うようリーダーシップを発揮するとともに,最終責任を負うものとする。
(2)  総括監督責任者 理事(財務・総務担当)をもって充て,最高管理責任者を補佐するとともに,職員に対する研修・啓発の実施等,本学全体における障害者差別解消の推進に関し必要な措置を講ずるものとする。
(3)  監督責任者 部局等に監督責任者を置き,当該部局における障害者差別解消の推進に関し責任を有するとともに,当該部局等における監督者を指定し,当該部局等における障害者差
別解消の推進に必要な措置を講ずるものとする。
(4)  監督者 監督責任者の指定する者をもって充て,監督責任者を補佐するとともに,次に規定する責務を果たすものとする。

(監督者の責務)
第5  監督者は,障害者差別解消の推進のため,次の各号に掲げる事項に注意して障害者に対する不当な差別的取扱いが行われないよう監督し,また障害者に対して合理的配慮の提供がなされるよう努めなければならない。
(1)  日常の業務を通じた指導等により,障害を理由とする差別の解消に関し,監督する職員の注意を喚起し,障害を理由とする差別の解消に関する認識を深めさせること。
(2)  障害者から不当な差別的取扱い,合理的配慮の不提供に対する相談,苦情の申し出等があった場合は,迅速に状況を確認すること。
(3)  合理的配慮の必要性が確認された場合,監督する職員に対して,合理的配慮の提供を適切に行うよう指導すること。
2  監督者は,障害を理由とする差別に関する問題が生じた場合には,監督責任者に報告するとともに,その指示に従い,迅速かつ適切に対処しなければならない。

(不当な差別的取扱いの禁止)
第 6  職員は,その事務又は事業を行うに当たり,障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより,障害者の権利利益を侵害してはならない。
2  職員は,前項に当たり,別紙留意事項に留意するものとする。

(合理的配慮の提供)
第7  職員は,その事務又は事業を行うに当たり,障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において,その実施に伴う負担が過重でないときは,障害
者の権利利益を侵害することとならないよう,当該障害者の性別,年齢及び障害の状況に応じて,社会的障壁の除去の実施について合理的配慮の提供をしなければならない。
2  前項の意思の表明は,言語(手話を含む。)のほか,点字,筆談,身振りサイン等による合図など障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段により伝えられること及び本人
の意思表明が困難な場合には,障害者の家族,介助者等のコミュニケーションを支援する者が本人を補佐して行う意思の表明も含むことに留意するとともに,意思の表明がない場合であっ
ても,当該障害者がその除去を必要としていることが明白である場合には,当該障害者に対して適切と思われる合理的配慮を提案するよう努めなければならない。
3  職員は,前二項の合理的配慮の提供を行うに当たり,別紙留意事項に留意するものとする。

(相談体制の整備)
第8  障害者及びその家族その他の関係者からの障害を理由とする差別に関する相談に的確に応じるための相談窓口は,下記のとおりとする。
(以下,例示)
(1) 東広島地区運営支援部の各支援室
(2) 霞地区運営支援部の各グループ
(3) 病院運営支援部の各グループ
(4) 学長室,大学経営企画室,グローバル化推進室,監査室及び理事室の総務担当部署
(5) 各附属学校の総務担当部署
(6) アクセシビリティセンター
(7) 保健管理センター
(8) ハラスメント相談室

(職員への研修・啓発)
第9  本学は,障害者差別解消の推進を図るため,職員に対し,次の各号のとおりの研修・啓発を行うものとする。
(1) 新たに職員となった者等に対して,障害を理由とする差別に関する基本的な事項や差別の解消等に関し求められる責務・役割について理解させるための研修
(2) その他職員に対し,障害特性を理解させるとともに,障害者へ適切に対応するために必要なマニュアル等による,意識の啓発

(懲戒処分等)
第10  本学は,障害者に対して不当な差別的取扱いをし,又は過重な負担がないにもかかわらず合理的配慮を提供しなかったと認めた場合は,当該職員に対し,本学の規則等により懲戒処分等を行うことができる。

国立大学法人広島大学における障害を理由とする差別の解消の推進に関する職員対応要領における留意事項

国立大学法人広島大学における障害を理由とする差別の解消の推進に関する職員対応要領第6及び第7に定める留意事項は,以下のとおりとする。

第1 不当な差別的取扱いに当たり得る具体例(第6 関係)
対応要領第3第1項及び第2項のとおり,不当な差別的取扱いに相当するか否かについては,個別の事案ごとに判断されることとなるが,不当な差別的取扱いに当たり得る具体例は,次のとおりである。
なお,次に掲げる具体例については,正当な理由が存在しないことを前提とし,また,次に掲げる具体例以外でも不当な差別的取扱いに該当するものがあることに留意すること。
(以下,例示)
〇合理的配慮を受けたことを理由に評価に差をつけること。
〇障害があること,情報保障等の合理的配慮の用意ができないことを理由として,以下の取扱いを行うこと。

  • 受験,入学,授業受講,研究指導,診療,入院,調剤等を拒否すること。
  • 実習,研修,フィールドワーク等への参加を拒否すること。
  • 式典,行事,説明会,シンポジウムへの出席を拒否すること。
  • 施設等の利用やサービスの提供を拒否すること。
  •  窓口等での対応を拒否し,又は対応順序を劣後すること。

第2 合理的配慮に該当し得る配慮の具体例(第7関係)
合理的配慮は,障害者等の利用を想定して事前に行われる建築物のバリアフリー化,必要な人材の配置,情報アクセシビリティの向上等の環境の整備を基礎として,個々の障害者に対して,その状況に応じて個別に実施される措置である。その内容は,対応要領第3第3項及び第4項のとおり,障害の特性や社会的障壁の除去が求められる具体的状況等に応じて異なり,多様かつ個別性が高いものであり,当該障害者が現に置かれている状況を踏まえ,社会的障壁の除去のための手段及び方法について,必要かつ合理的な範囲で,柔軟に対応する必要があるが,具体例は,次のとおりである。
なお,次に掲げる具体例については,過重な負担が存在しないことを前提とし,また,次に掲げる具体例以外にも合理的配慮は多数存在することに留意すること。

(物理的環境への配慮)
(以下,例示)
〇移動に不自由・困難(視覚,下肢等の障害)がある利用者のために,必要に応じて以下のことを行うこと。

  • ドアの開閉や段差昇降の補助を行うこと。
  • 窓口から利用施設までの道案内を行うこと。
  • 利用施設に近い駐車場・駐輪場を確保すること。
  • 施設利用の場所や時間を調整すること。

〇車いす利用者や目が不自由な利用者等に配慮して,必要に応じて,配布資料や使用器具の配置や配布方法を調整すること。
〇座席により参加しやすさが大きく変わる利用者(視覚,聴覚,下肢,病弱,精神,発達等の障害)のために,必要に応じて以下のことを行うこと。

  • 入退室・着席離席しやすい座席,聞き取りやすい座席,感覚過敏の症状が出にくい座席等を確保すること。
  • 介助者や支援者(筆記通訳者等)の座席を確保すること。
  • 休憩スペースを確保すること。

〇障害がある利用者が施設・設備を,他の利用者と同様に利用できるように改善すること。

(情報伝達・意思疎通の配慮)
(以下,例示)
〇音声によるコミュニケーションに不自由・困難(視覚,聴覚,精神,発達,記憶,注意力等の障害)がある利用者のために,必要に応じて以下のことを行うこと。

  • 直接的・具体的な表現を使って説明すること。
  • 話し方を調整する,筆談を交える等の伝わりやすさへの配慮を行うこと。
  • 重要事項や手順・指示等を書面(テキストデータ等)で伝達すること。
  • 音声を含む資料(動画,音声ガイド等)の代替テキストを用意すること。
  • 授業・研修や説明会の情報保障として,補聴用マイクを使用すること。
  • 授業・研修や説明会の情報保障として,筆記通訳等の支援を行う又は支援に協力すること。

〇読み書きに困難(視覚,上肢,学習等の障害)がある利用者のために,必要に応じて以下のことを行うこと

  • 読みやすさ(表現,コントラスト,フォント等)に配慮して資料を作成すること。
  • 読み資料(教材,プレゼン資料,配布資料,パンフレット等)の代替資料(電子データ・点訳・拡大資料等)を提供する又は代替資料作成に協力すること。
  • 板書やプレゼン画面の配布用資料を用意する又は写真撮影を許可すること。
  • 代筆(書類記入,メモ等)を行う又は代筆を許可すること。

〇情報アクセシビリティの程度により,参加しやすさが大きく変わる利用者(視覚,聴覚,上肢・下肢,精神,発達,記憶,注意力等の障害)のために,必要に応じて以下のことを行うこと。

  • 予定・計画や予定変更の可能性等を事前に書面(テキストデータ等)で伝達しておくこと。
  • 手続きや作業の手順について,明確に記した書面(テキストデータ等)を用意すること。
  • 授業,研修,実習,説明会等で使用する資料を事前に提供すること。
  • 実習,演習,実験等の補助者を配置する又は補助者に協力すること。

(ルール・慣行の柔軟な変更の具体例)
(以下,例示)
〇移動に不自由・困難(視覚,下肢等の障害)がある利用者のために,必要に応じて以下のことを行うこと。

  • 車両乗降場所の変更・調整を行うこと。
  • 移動時間の変更・調整を行うこと。

〇音声によるコミュニケーションに不自由・困難(視覚,言語,聴覚,精神,発達,記憶,注意力等の障害)がある利用者のために,必要に応じて以下のことを行うこと。

  • 聞き取りが必須となる行程(授業,審査等)を,他の方法(代替授業,代替審査等)で置き換えること。
  • ICレコーダー等の録音機器の使用を許可すること。
  • グループワークや口頭発表の方法を調整・変更すること。
  • 発言方法(筆記での発言への置き換え等)や発言時間を調整すること。

〇読み書きに困難(視覚,上肢,学習等の障害)がある利用者のために,必要に応じて以下のことを行うこと。

  • 課題(レポート課題等)の提出期限の調整や代替課題の検討を行うこと。
  • 読み書きのためにパソコン・タブレット端末を使用することを許可すること。

〇障害のある利用者の参加機会の確保のために,必要に応じて以下のことを行うこと。

  • 申込・登録手続き(履修登録等)に関する個別対応を行うこと。
  • 介助者,支援者(筆記通訳者等)の施設内(教室,研修会場等)への立ち入りを許可すること。
  • 授業中や研修中に支援機器・自助具(補聴器,拡大機器,パソコン・タブレット端末,サングラス,イヤーマフ,マスク等)使用を許可すること。
  • 授業中や研修中に途中退室することや適宜休憩をとることを許可すること。
  • 授業中や研修中の服薬や水分補給を許可すること。
  • 欠席時の授業内容,研修内容の自学自習に対する助言を行うこと。
  • 障害特性による制約が少ない授業の抽選を免除すること。
  • 本学が実施する学外実習(病床実習,教育実習等)において,実習受け入れ機関と協力して,合理的配慮のための調整を行うこと。

〇障害の有無に依らない公平な評価を可能とするために,必要に応じて以下のことを行うこと。

  • 入学試験や定期試験において,障害特性に応じて時間延長,別室受験,支援機器利用,試験問題の拡大・点訳等の特別措置を講ずること。
  • 成績評価において,本来の教育目標と照らし合わせ,公平性の観点から柔軟な評価方法への変更・調整を講ずること。