「アクセシビリティリーダー育成協議会」設立

産学官の連携による「アクセシビリティリーダー育成協議会」を設立

国立大学法人広島大学(所在地:広島県東広島市)、マイクロソフト株式会社(本社:東京都渋谷区)及び独立行政法人日本学生支援機構(本部:神奈川県横浜市)は、産学官の連携により「アクセシビリティリーダー育成協議会」を2009年6月1日(月)に設立し、ITの利活用などにより修学・就労・生活環境のアクセシビリティ向上を推進する人材「アクセシビリティリーダー」(注1の育成を全国の国公私立大学において展開していくことを発表します。

(注1アクセシビリティとは、情報、サービス、製品、環境などの、利用しやすさ、使いやすさを意味します。

障害学生支援で最も先進的な取組を進めている大学の一つである広島大学(注2と、Microsoft® Windows®など多くのユーザーに利用されているソフトウェアを開発しているマイクロソフトは、アクセシビリティ分野における産学連携として、2004年よりアクセシビリティリーダーの育成を行ってきました。両者の連携により、広島大学では、2006年より資格制度として、「アクセシビリティリーダー育成プログラム」を本格的に開始し、講義、実習および試験を経て、この資格が取得できます。これまで、広島大学の学生約800名がアクセシビリティの講義を受講し、93名の学生が認定資格を取得しました。また、認定資格取得者の研修の場として、2004年より、障害者のIT利活用などを学ぶ「アクセシビリティリーダーキャンプ」をマイクロソフトと実施し、これまで約60名が参加しました。

このたび、広島大学とマイクロソフトが協力して、実施してきたアクセシビリティ人材育成の取り組みを、全国の国公私立大学へ対象を拡げます。今後、アクセシビリティの人材育成は、独立行政法人日本学生支援機構(注2、広島大学、マイクロソフトが発起人として設立される「アクセシビリティリーダー育成協議会」を通じて、展開されます。

(注22008年全国障害学生支援センターの調査による

(注3独立行政法人日本学生支援機構は、全国の高等教育機関の支援を行う文部科学省管轄の機関です

目的

「アクセシビリティリーダー」認定資格制度を全国の国公私立大学に普及し「アク セシビリティリーダー」の育成を推進

社会における「アクセシビリティリーダー」の、地域や企業におけるインターンシップなど活躍の場を開拓し、人材活用の方策を協議

目標

2014年3月までの活動を通じて、以下のゴールを目指す

アクセシビリティリーダー認定者:300名

アクセシビリティリーダー育成プログラム実施大学:20国公私立大学

会長

浅原利正(広島大学長)

幹事と役割

広島大学

障害学生支援とアクセシビリティリーダー育成プログラムのノウハウを活かし、カリキュラム作成、資格認定試験の実施、および事務局業務を実施

マイクロソフト

WindowsやOffice製品などソフトウェアのアクセシビリティへの取り組みを活かし、マイクロソフトテクノロジーを活用した障害者のIT活用についてのアドバイスやカリキュラム作成の支援、アクセシビリティリーダーキャンプの企画や実施、協議会に賛同する企業への呼びかけを行う

日本学生支援機構

全国の国公私立大学とのネットワークを活かし、講演会・研修会、ホームページ等を通じて、全国の国公私立大学の教職員に対する普及活動を行う

会員(2009年5月現在)

広島大学(幹事)

マイクロソフト株式会社(幹事)

日本学生支援機構(幹事)

関西学院大学

富山大学

広島文教女子大学

富士通株式会社

日本アイ・ビー・エム株式会社

活動内容

  • 年に4回のアクセシビリティリーダー育成会議を実施し、全国の大学のアクセシビリティリーダー育成プログラムの展開やリーダー取得者のインターン等での活用を協議
  • アクセシビリティリーダー認定制度のカリキュラム(テキスト、指導要領、オンライン講義等)、認定試験の作成 (資格は1級と2級を提供し、各大学がカリキュラムにあわせて選択)
  • アクセシビリティリーダー資格取得者の研修の場としてのキャンプの実施
  • 地域ボランティア、企業でのインターン、広く社会での資格を生かした活躍等アクセシビリティリーダーの人材活用
  • アクセシビリティリーダー育成プログラム実施大学拡充のための広報活動等

詳細情報は、以下のWebサイトを参照ください。

http://www.alp.hiroshima-u.ac.jp/

日本学生支援機構の取り組み

日本学生支援機構は、共 同利用機関として各大学等に共通の課題について相互に連携・協力し、学生支援が効果的に行われるよう大学等を支援しています。その中で、障害のある学生へ の修学支援として、障害学生修学支援ネットワークを作り、一丸となって大学等の障害学生支援制度の整備を目指しています。今後もこのネットワーク事業にお ける相談、研究促進、研修の各種取組を進めることにより、全国の大学等が相互支援を図り、独自には対応できない課題を解決し、障害のある学生の修学支援の 充実につなげていきたいと考えています。また、障害のある学生に対する修学環境の整備が進むことで、これまで高等教育機関への進学を考えていなかった生徒 が進学に関心を持ち、学びたいと思う障害のある生徒が一人でも多く高等教育機関へ進学し、有意義な学生生活を送れるよう、各大学等に対する支援のあり方を 追求していきたいと考えています。

日本学生支援機構 障害学生修学支援課のWebサイト

http://www.jasso.go.jp/tokubetsu_shien/

広島大学のアクセシビリティの取り組み

広島大学は、「すべての学生に対して、同一で質の高い教育を保障する」を基本方針とし、障害のある学生に対する修学支援を全学的に行い、修学環境のユニバーサルデザイン化を推進しています。国内では、初めてアクセシビリティ教育を体系化し、平成18年 度より「アクセシビリティリーダー育成プログラム」を開始、資格取得者の地域貢献プログラムを展開するなど人材育成にも力を注いでいます。また企業や行政 と連携し、アクセシビリティ支援や人材活用システムの開発も進めています。広島大学は、これまで行ってきた障害学生支援とアクセシビリティリーダー育成プ ログラムのノウハウを活かして、カリキュラム(テキスト、指導要領、オンライン講義等)や、資格認定制度を整備・拡充し、他大学の学生や社会人の資格取得 が可能となるように教育プログラムを標準化し、人材育成の取組を学外に開かれた形で推進します。

広島大学 アクセシビリティセンターのWebサイト

http://home.hiroshima-u.ac.jp/achu/

マイクロソフトのアクセシビリティの取り組み

マイクロソフトでは、障害者や高齢者をはじめあらゆるユーザーに使いやすいテクノロジーを提供するべく、Windowsをはじめとする自社製品やパートナー製品のアクセシビリティの向上や、PowerPointなど企業やコンシューマー向けに開発された製品の障害のある方への利活用に取り組んでいます。さらに、大学、NPO、教育機関と連携し、アクセシビリティを理解し、活用できる人材の育成も行うことで、あらゆるユーザーがテクノロジーを活用できる環境を促進してまいります。

マイクロソフトアクセシビリティのWebサイト

http://www.microsoft.com/japan/enable/

以上